宝塚『元禄バロックロック』『The Fascination!』感想|ショーは華やか&ストイックで良かったけど…

新年早々行ってきました、花組の「元禄バロックロック」「The Fascination(ザ ファシネイション)!」。正直「元禄バロックロック」は何度も見られる作品じゃないなと思いました。衣装やキャラの作り込みが素晴らしく目が楽しいので1度は通しで見られますが・・・脚本があまりにも空虚です。

『元禄バロックロック』

やっぱり「出島小宇宙戦争」と同じノリだった。谷貴矢先生、ああいう世界観が好きなんですね。「出島~」は池袋のBrillia HALLでの別箱上演で、宝塚のスピンオフ的に楽しめましたが、本拠地、大劇場でやられるとツラい。

忠臣蔵をファンタジーに、という発想は魅力的で、キャラクターヴィジュアルもフェチがにじみ出ていて素晴らしいです。柚香光&星風まどかのキーヴィジュアル最高。あの新旧和洋ごちゃまぜなミクスチャー感こそが日本文化の粋だわ。うっすらと90年代V系カルチャーが透けて見える・・・

しかしストーリーが迷子。物語の設定説明が長くて眠いのよ。客席のオタクたち置き去り。演出家インタビューも読んだけど、そもそものコンセプトが不明瞭です。つじつま合わせに終始して、全員が、主役でさえも物語を成立させるためのコマでしかなく、共感しづらく、感情の置き所がありません。ジャンプでたまに載る”大型新人のSF読み切り”みたい。このお話から何を感じればいいんだ俺たちは・・・これがショーだったら満足感あったと思います。ヴィジュアルは美しいので。

完全に役者に助けられていて、特に音くり寿が居なかったら成立しないストーリーでした。崩壊直前の脚本を成立させてしまう音くり寿の圧倒的芝居力。この気づきは大きな収穫でした。

『The Fascination(ザ ファシネイション)!』

こちらは初心者の友達に見せたいショーでした。クラシカルなベルばら風のセットが華やかで美しいし、「ピアノファンタジー」でのシンプルでストイックなダンスは見ものです。踊れる花組男役3人がバシッと決めてくれる。ダンスの花組だぜ? という矜持を感じます。今回は特に永久輝せあの立ち姿がとても格好良く、改めて「真ん中力」ある人なんだなぁと思いました。

柚香&星風コンビはバランス良いですね。星風さんは歌えるし踊れるし、ショーでも存在感バッチリ。超カワイイし。笑顔が華やかでヒロイン感ある~。彼女の歌声のおかげで全体の安定感が増しました。まどかちゃん、真風さんの横もとってもよく似合ってたけど。。。独特の愛嬌のある二人、今後も愛でていきたい。