映画感想|台北暮色

馴染みのあの店が潰れ、新しい建物が建ったらしい。そう聞いて久しぶりにその場所を訪れると、なぜだか思い出のお店がどんな建物だったのか思い出せない。そういうときって、すごく寂しい。

古いものが壊され、新しいものが生まれる。「台北暮色」は、そんな街の「代謝」を目の当たりにするときに感じる寂しさを、そのまま映画にしたような作品だった。

急激に発展した台北のきらびやかな明るさ。かつて暮らした人々の面影が残る古い街並みは時とともに錆びつき、壊され、再生していく。いくつもの喪失を繰り返しながら、街は代謝を続ける。

街と同じように、台北という都市で暮らすこの映画の登場人物達も、時とともに失った誰かの、何かの不在を抱えて生きている。

でも、誰かと誰かが別れてしまったこの場所で、新しい誰かと出会い、全く予想のつかない、新しい人生を歩き出すこともできる。最後にはちゃんと希望を感じさせるのがこの映画の素晴らしいとこ。

映像がとにかく美しいので、台北に行きたくなってしまった。台北旅行に誰かを誘いたいときに見せるのが良いと思う。ホウ・シャオシェンがプロデュースしてるので、あんな感じの台湾映画が好きな人は見るべき。

あと、ヒロインの女の子が可愛い。ヘルシー系美女。小鳥ちゃんと戯れる美女が見られる眼福映画でもある。

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